フィリピンに恋して。
~フィリピン・バギオのリアルライフ~
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こんなに違う!ローランダー vs イゴロット クリスマス~年末年始の過ごし方

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9月から始まり、既に3か月目に突入したフィリピンのクリスマスシーズン。

去年は9月1日に彼とSMバギオに遊びに行ったらマライアキャリーの鉄板ソングが大音量で流れていたけど、今年はコロナの影響で、外出制限は徐々に解除されているものの未だ観光客の出入りは制限されており、例年とは全く違った異様な雰囲気のクリスマスになりそうです。

 

国民の大半がキリスト教徒であるフィリピンのクリスマスといえば、

・年間で最大の国民的行事
・家族や親戚にプレゼントを買いまくる(貯金はすべて使い果たす)
・シーズン中は連日連夜飲み歩き&ところ構わずカラオケパーティー
・飲酒運転による交通事故が多発
・四方八方で花火ぶっぱなし

・・・のような、国を挙げてのお祭り騒ぎの様子がよく聞かれますが、同じフィリピンでも地域によっては全く違ったクリスマス~年末年始の祝い方をするところがある、ということは意外と知られていない事実。

 

フィリピン人のパートナーは イフガオ出身のお母さんとマニラ出身のお父さん の子どもなので、ラッキーなことに私はどちらのそれも体験することができました。

イフガオで過ごした年末年始は、私が知っていたはずの(ネットでよく言われている)いわゆるフィリピンの年末年始とは全く異なるものだったのです。

ローランダーとハイランダー(イゴロット)

私のパートナーはイゴロットの血を持っています。

イゴロット族(イゴロットぞく、英語: the Igorots)はフィリピンのルソン島北部のコルディレラ・セントラル山脈、現在はコルディリェラ行政地域として規定されている場所に住むマレー系民族の総称で、さらにボントック族などの部族に分かれている。美しい稲の棚田を作ることでよく知られていて、かつては首狩りの風習を持つ民族であったが、スペイン、アメリカ、日本の統治を経てこの風習はもうない。ー引用;Wikipedia

山岳地帯に住む彼らは、自分たちのことを「イゴロット」または「ハイランダー」と呼びます。

また、コルディリエラ以外の平地のことを自分たちの住む山と比較して「ローランド」そこに住む人々のことを「ローランダー」と呼びます。

「ハイランダー」はそんなに頻繁に耳にすることはなく、どちらかというと「イゴロット」と呼ばれることが多いけど、彼自身はどちらの呼び方に対しても誇りを持っているそうです。

注)彼は自分のルーツに誇りを持っているけれど、「イゴロット」という呼び方は歴史を遡ると差別用語からきているため、人によっては嫌だと感じる人もいます。使うときには注意が必要。”Cordillerans”(コルディリエラの人々)と言った方がよい場合もあり。

私と彼の間では、文化や宗教、言語等のトピックが頻繁に話題に上るのだけど、そういったときに、彼自身が マニラ・セブ・バギオなどの地名で分けるよりも「ローランダー」「ハイランダー」で区別していることの方が多いように思います。

例外として、コルディリエラの一部であるアブラ州、カリンガ州は山と平地が混在する地域であり、人々は「ローランダー」「アップランダー」「ハイランダー」に分けられます。同じ州に住みながら違う言語を話すのも特徴。

1年目 ローランダー式 クリスマス~元旦 in バギオ

フィリピンと、彼と出逢って最初のクリスマス。

実は私たちの交際は、クリスマスシーズンもいよいよピークという12月23日に始まりました。

そしてめでたくカップルになったその翌日に、「家族に紹介する」と言われ私は彼の実家に連れて行かれたのです(いまだに日本の友達には「よく行ったなあ!」と言われる)。

冒頭にも触れたとおり、彼のお母さんはイフガオ出身のイゴロット、お父さんはマニラ出身のローランダー。

色々あってご両親は、今は同じバギオ市内に別々に暮らしています。

バギオという地は、地理的にはコルディリエラに属し、民族的にはイゴロット。

だけどローランドや海外からの移住者も多く、街全体のクリスマス文化に関してはローランド寄り・・・中間なので少し複雑です。

ローランダー式 大人数クリスマスパーティー

まずはお父さんの家へ。

そこでは総勢20名を超える父方の親族が、決して大きくはないひとつの家に集まり、ローランドスタイルの盛大なクリスマスパーティーが開催されていました。

食卓には定番のジョリビーパスタやチキン、フィリピン料理のパンシットにルンピア、大きなクリスマスケーキなどが並びます。

ドアは開けっ放しで大音量のカラオケの音は外にダダ漏れ。この辺はどこの家もそんな感じでした。

昼過ぎから飲み始めて、このどんちゃん騒ぎは明け方まで続くらしい。

非常に残念なことに写真はほとんど残っていません。

なんせこの時は彼とお付き合いが始まって初日だったのでw

勝手に人の家の写真を撮るのは失礼だし、何よりいきなり実家に連れて行かれたと思ったら

お父さんにご挨拶と聞いていたのに、お父さんどころか親戚一同に迎えられて緊張どころではなかった(笑)

お父さんの方の親族は普段から賑やかな、いわゆる典型的なフィリピン人(ネットでよく言われるような)だけど、この日はほんっとうにめっっちゃくちゃ賑やかでしたw

▼唯一撮影した写真

イゴロット式 一家団欒静かなクリスマス

お父さんの家に一、二時間くらい滞在したあと、今度はそこから車で15分ほどのお母さんが暮らす家へ。

彼が普段生活している家はこっち。

お父さんとの初対面のあと、ほっと一息つく間もなく今度はお母さんが待つ家へ・・・ということで私はといえば、もうクリスマスどころではなかったですが(笑)

こちらは一変、お母さん、おばあちゃん、彼の妹たちが集まってイゴロット式のクリスマスをしていました。

イゴロットのクリスマスはとっても静か。

盛大なパーティーはせず、クリスマスという聖なる夜を一家団欒で過ごす。

この一年、たくさんの恵みを与えてくれた神様に感謝して。

初対面にも関わらず家族の輪に入れてもらって、いつもの(この時は初めての)リビングでみんなでまるくなって、

コーヒーを飲みながらしばらくみんなで話したあと、私と彼はホテルに宿泊しました。

同じバギオで距離も遠く離れていないのに、一夜で国を跨いだような感覚に陥ったことを今でも覚えています。

ローランダー式 年末年始は ”House-to-house”

クリスマスが終わると、休む間もなく街は年越しモード。

ローランドでは、近くに住む親戚や友人の家を連日渡り歩く “House-to-house” と呼ばれるお祝いの仕方が伝統的なようです。

彼と付き合い始めだったこともあり「友達全員にコノミを紹介したい!」と言ってくれて(こういうところもフィリピーノのいいところだよね)

クリスマス翌日の26日から始まって年明けまで、彼のバイクで毎晩違う親戚や友達の家をホッピングしました。

▼私用にヘルメットを買ってくれた

ちなみにこのHouse-to-house、招待制ではなくこちらからアポなしで訪問するスタイル。

彼の親友の家に行ったら家族が窓から顔を出して「〇〇の家にいるからいないよ!」って。

昔の日本もこんな感じだったのかなあ、なんて思いながら、別の友達の家までまたバイクを走らせる。

それぞれの場所での滞在時間は大体1~2時間程度。

用意された食べ物やお酒をいただいて少し談笑したら、また次の家へ。

 

2019年を迎えた瞬間は彼の小学校の同級生の家にいました。霧雨に降られながら、バギオの名物である夜景がキレイに見えるおうちのテラスで、フィリピンクオリティの花火&爆竹で迎える新年。

貴重な体験だったにも関わらず、全員初対面だったこともあり写真はありません(再)。

▼唯一撮影した写真

ローランダー式 元旦はレチョンでお祝い

元旦に再びお父さんの家に遊びに行くと、お祝い事には欠かせないレチョン(豚の丸焼き)を仕込んでいるところに遭遇しました。

クリスマスのような賑やかさは元旦にはなく、レチョン以外は変わらない日常。

この日は新年のご挨拶をして、レチョンを少しいただくとすぐに退散しました。

2年目 イゴロット式 大晦日 in イフガオ

2年目は、ちょっとだけ風変わりな私の両親が「ダニエル(彼)の住む街がどんなところか見てみたい!」と、はるばるフィリピンまで来てくれました。

彼の故郷であるイフガオを、ぜひ訪問したい!という本人たちの強い希望で

マニラから車で5、6時間のバギオ ―からさらに車で5、6時間離れたイフガオへみんなで行ってきました。

両親、御年60歳にして「バギオ行こうか」で即チケットを購入してしまうこのフットワークの軽さ。

大晦日の早朝にバギオを出発して、お昼頃にはイフガオに到着。

キアンガンのおじいちゃんおばあちゃんの家にご挨拶をして、そこから数時間離れたフンドゥアンを訪問しました。

イフガオはとても広くて、気候も文化も場所によってまったく違う、本当に面白い場所。

おじいちゃんおばあちゃんのいるキアンガンは、温暖な気候で、日中は真夏の日本のように暑く、人々もどちらかというと陽気&酒飲みな人が多い。

一方で叔父さんの住むフンドゥアンは、朝晩はユニクロのヒートテックとウルトラライトダウンが大活躍するほどの冷え込み、シャイな性格な人が多いです。

18時過ぎにフンドゥアンに着いて、とりあえず両親が泊まるホテルに荷物を置いてから叔父さんの家へ。

フンドゥアンは、棚田と一本道と民家とサリサリストアしかない田舎町。

途中、売店でお酒とおつまみを買うために車をおりると、既に真っ暗な道に街灯はなく、携帯のライトで光を照らさないと歩けませんでした。

思わず声をひそめてしまうほど静まりかえっていて、本当に大晦日?って感じ。

ここフンドゥアンではクリスマスや大晦日に特別なイベントはなく、住民は家でいつもと変わらない夜を過ごすそうです(Facebookでメリークリスマスやハッピーニューイヤーの投稿はする)

叔父さんも、いつも通り朝早く起きてせっせと働いていました。

ただ今回は私の両親がくるということで、特別にピニピカン(生きた鶏を捌いて長時間煮込んだ伝統料理)と自家製のお酒を用意してくれました。

それからみんなでモマ(噛みタバコ)を試してみたり、イゴロットの歴史について叔父さんから話を聞いたりして、22時には解散。

 

 

▼2019年最後に撮影した写真がこれだった。めちゃくちゃ平和。

まとめ

ローランダーとイゴロット。

それぞれのクリスマス~年末年始を体験した私が感じた双方のクリスマスに対する価値観とは、

ローランダー
・年間の最重要行事(誕生日に次ぐ)
・この日のために貯金をし、この日にすべて使い切る
・命がけで楽しむ(バギオの飲酒運転による交通事故件数激増シーズン)

イゴロット
・家族が久々に集まって神様に感謝をする日
・必要以上にお金をかけない
・そもそもお祭り騒ぎを好まない
(但し、同じイゴロットでも地域により異なる)

祝日の過ごし方ひとつとっても、同じフィリピンという国内で、また同じイフガオという州の中にいながら、こんなにも文化が違う。

はたまた、バギオに住めばどちらの文化も半分ずつ入り混じってくる。

だからフィリピンという国は面白いし、一言では語れません。イゴロットとローランダー、どちらの文化も経験しているからこそ「フィリピンは~」「フィリピン人は~」と一括りにしたくないのです。

私はマニラやセブなどの主要都市だったりミンダナオの方なんかは全く知らないので、これもまた興味深く、いつか行ってみたいと思います。

マニラ出身バギオ在住のお父さん、イフガオ出身バギオ在住のお母さん、

イフガオのキアンガンに住むおばあちゃん、イフガオのフンドゥアンに住む叔父さん。

そしてそれぞれにルーツを持つ彼の知識は幅広く、考え方も偏っていない。

そんな彼のパートナーである私は、日々の生活の中で多様な文化や価値観を感じられてとってもとってもラッキー。

 

今年は世界中の誰も想像しなかった状況下ではあるけれど、それぞれがそれぞれの場所で、一体どんな年の終わりを迎えるのだろうか、と想像を巡らせながらこの記事を書いています。