フィリピンに恋して。
~フィリピン・バギオのリアルライフ~
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“He’s lucky to have you.”というフレーズについて考えてみた。

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先日、Twitterで

「フィリピン人夫が『妻は日本人だ』と言うと、他のフィリピン人から You’re lucky! と言われる」

という内容の投稿に、同じ経験のある日本人の方から多くコメントが寄せられていた。

わかるわかる。

これ、フィリピン人パートナーを持つ日本人あるあるなんだろうな。

言った側がどういう意図で発言しているのか知らないけど、言われた側からすると「ラッキー」ってなに?と思ってしまうんだよね。

そのフレーズに込められた真意について、考えをまとめてみた。

“He’s lucky to have you.” に違和感を抱く理由

フィリピン人パートナーと現地で生活をしていると、彼の親戚や友人の家にお邪魔したり一緒にご飯を食べたりする機会が頻繁に訪れる。

初対面の場合、大抵話題は私たちの交際の話へ。

それ自体は自然な流れなんだけど、

どこで出逢ったのか、どうやって交際まで辿り着いたのか、彼のどこが好きなのかなど諸々を聞かれたあとに

“He’s lucky to have you!” と満面の笑みで言われるところまでがお約束。

別に深く考えなければ「へへへ。ありがとう~」で済む話なんだけど、言われるたびになんか心に引っかかるものがあって、モヤッとしてしまう。

そのモヤッとの正体は、

‘He’s lucky to have you.’ の真意が、’He’s lucky to have Japanese’ なんだろうなー、と推測できてしまうことだと思う。

Japanese の意訳は、money でも ATM でも wallet でもなんでもいいけど…そういうこと(笑)

素直に訳せば「あなたに出逢えて彼は幸せ者だね!」となるのに、日本人に対してフィリピン人が一般的に抱く感情だったり、フィリピン文化をある程度知った上でそれを言われると「パートナーが日本人だなんて、彼はラッキーだね!」(お金に困らないね!)(日本に住めるね!)という風に聞こえてしまう不思議。

日本人の間で「フィリピン=発展途上、スラム、危険、怖い」などのイメージが定着しているように、フィリピン人からすれば「日本人=お金持ち」というイメージは根強いので仕方がないと思う反面、

自分なら、仮に友人がお金持ちの方と付き合っていたり結婚したりしたのを聞いて「お金持ちと結婚できてラッキーだね!」という思考回路にはならないし、もし思ったとしてもまさか面と向かって直接本人には言わないのでその感覚はやっぱり理解できない(笑)

”Lucky” という単語の意味

ここまで、 “He’s lucky to have you!” と言われると

「彼は君(日本人)がパートナーでラッキーだね!」と勝手に脳内変換されてしまいモヤッとする、という話なんだけど

ここで考えたのが、この ”lucky” という言葉の認識について、英語と日本語では差があるんじゃないか説。

そもそもなぜ私と付き合っていることを「ラッキー」と表現されると素直に喜べないのか?

日本語の「ラッキー」、英語の ‘Lucky’

日本語で「ラッキー」というと、〈運がいい/ツイてる〉というような意味合いで使われる。

例えば、「宝くじが当たった!ラッキー♪」とか 「雨予報だったのに晴れた!ラッキー♪」とか。

〈予期せずに起こった、自分にとって得な出来事〉っていう感じ。

この「ラッキー」という単語。大辞泉では、

「得」ー 利益を得ること。もうけること。有利であること。成功すること。

と定義されている。

なるほど、だから赤の他人に “He’s so lucky to have you!” って言われるとモヤッとするんだ。

 

では、英語の “lucky” についてはどうだろう。

ネットで検索をかけてみると、

”I’m so lucky to have you in my life.” という歌詞やポエムが沢山ヒットした。

この表現、英語圏では一般的な愛情表現として普通に使われているのだろうか。

単純に “lucky” を辞書で引くと、やはり〈幸運である、運がいい、成功の、まぐれの〉などと定義されているけど、まさか ”I’m so lucky to have you in my life.” という歌詞の裏に(お金持ちと出逢えてシアワセ!)(一生養ってもらえるわ!)などという意味が込められているとは思えないことから、このフレーズの場合は日本語の「ラッキー」とは違う意味で使われていると推測できる。

どちらかというと「幸せ」みたいな感じ。

限りなく少ない確率の中で出逢えた「幸運」や「奇跡」の意味なのかな。

そう考えると、パートナーから言われる分には純粋に嬉しい言葉だよね。

“Lucky” 問題は海外でも話題に取り上げられていた

とある海外のサイトでも、この “lucky” という単語の使い方について意見を述べている記事があった。

ざっくり内容をまとめると、

・里子を家族に迎えた時、周りからの反応として、いくつかの様々な典型的フレーズがある
・その中で、相手に悪意はないが言われると苦痛を感じるフレーズがある。それが、”He’s so lucky to have you.” (彼はあなたに会えてとても “lucky” だ)である
・彼らが里子に迎えられたのは “lucky” だからではない
・子どもたちは身体的・精神的な問題を抱えており、”lucky” という言葉からはかけ離れている
・”He’s so lucky to have you.” というフレーズは、この場面にはふさわしくない。その代わりとなるよりよい表現を使うようにしたい(以下、例文の提示)

といった感じ。

これは「様々な問題を抱えながら新しい家族に迎えられた里子を “lucky” という単語で表現するのはふさわしくない」という事例なので、この記事のトピックとはスケールの大きさがまったく違うけど

“lucky” という単語について、発言した側に悪気がなくても受け取る側は否定的な意味で捉えてしまうというところに論点が置かれている点では似ているのかもしれない。

 

まあ、英語における “lucky” の定義がどうであれ

ここで話題にしているフィリピン人のいう “He’s lucky to have you!” が

「パートナーが日本人でラッキーだね。お金に困らないじゃん!」という意味であることには変わりないんだけど(笑)

大体そういうことを言う人は深い関わりのない人たちだし(そもそも本人たちはそこまで深く考えてない)

私個人の人間性を評価して言ってくれている言葉であれば、その人との関係性、会話の流れや文脈ですぐに分かるので

結論、気にしないことが一番だ。

実際に言われた時の切り返し方

最近では私も慣れてきて、この発言をスルーできるようになってきた。

他人が「日本人と付き合っている彼」を羨ましく思うのは勝手だし、どんなに羨ましく思われても、私がお金持ちでないことには変わりないからだ。

それどころか国際結婚となれば、フィリピン人同士で結婚するよりもはるかに乗り越えなければいけないことが増えるので、今後の人生、二人で苦労の連続が確定してる。

私は、フィリピン人の彼に

「私はお金持ちではないこと」「親からお金をもらうことはないこと」「日本に行く/住むことは全く簡単ではないこと」「日本に行ってからも人生は楽になるどころか苦労することの方が多いこと」を、普段から(とくに結婚を意識し始めてからは)口酸っぱく伝えている。

それを私たち二人と今後深く関わっていく家族が分かっていれば、周りは関係ないと思う。

とはいえ、このフレーズを言われて嫌な気持ちになったり悩んだりしてしまう人のために、実際に言われた時にいくつか良い切り返し方があるので紹介しておきたい。

なんでそう思うの?と単刀直入に聞く

“He’s lucky to have you!” と言われたとき

シンプルに “Why?” と聞き返すのがおすすめ。

嫌味とかじゃなく、なんでそう思うのか興味があるから。

そうすると、大体 “Of course, you know…” とモゴモゴしてしまう人と(これ、「だって日本人ならお金持ってるじゃないか!」と言えない人のパターン)

“So that he could go to Japan!” と笑いながら正直に話してくれる人とに分かれる(笑)

後者の場合は、日本はあなたが思い描いているような夢の国ではないよ・・・というところから日本社会や日本文化について話が発展していくので、それはそれで面白い。

私の方が彼と出逢えてラッキーだよ!と言う

“I’m more lucky to have him!”

どちらかというと私はこう返す方が多い。

気まずい雰囲気にならずに済むし、何より私の正直な気持ちだからだ。

そうすると大体びっくりした顔で「なんで?」「彼のどこが好きなの~?(ニヤニヤ)」と聞かれて、

結果的に私がただ彼の素敵なところをベラベラ喋りまくるという、誰得な会話の場が成立する。

そういう、他人の惚気話も全力で盛り上げてくれるのがフィリピン人の好きなところでもある。

まとめ:真意はどうあれ言わせておけ

以上、”He’s lucky to have you!” について本気で考えてみた。

言葉って深くて繊細だ。

そして、異文化って難しくもあり面白くもあり、永遠のテーマだなって思う。

これは、日本人×フィリピン人カップルである限りこれからもずっと言われ続けることなんだろうけど、本当の事情は本人たち二人がしっかりと理解し合っていればいいことなので、

周りに何と言われようと「ふんふん、そう思ってるんだー」くらいに捉えられると気が楽かもしれない。

フィリピン以外の国際カップルあるあるってどんなのがあるんだろう?

とにかくみんながハッピーに暮らせればいいなと思う。