フィリピンに恋して。
~フィリピン・バギオのリアルライフ~
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フィリピン人夫の外免切替その後。

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夫が、フィリピンの運転免許を日本の運転免許に切り替える「外免切替」の手続きで、貴重な一コマを進めた。

運転歴10年以上、フィリピンでは長年のタクシードライバー経験もある夫の外免切替は、予想以上に困難を極めている。

日本にいながらフィリピンを感じざるを得ない波乱万丈な日々を忘れないためにも、ここで一旦、これまでの経過をひとつずつ順番に振り返ってみる。

外免切替の「事前審査」のため朝4時起きで鴻巣免許センターへ。1日限定10名の審査枠に滑り込むも書類不備で落とされる

外免切替の手続きをするためには、まず「事前審査」と呼ばれる書類審査を通過する必要があるが、全くもって想定外なことにここで早速つまづくことになり、これが私たちの長い長い道のりの幕開けとなった。

詳細はこちら。

フィリピン人夫が外免切替に挑戦した話。 1年3ヶ月の遠距離夫婦生活を乗り越えて、2021年12月16日に無事日本に入国したうちのフィリピン人夫・ダニエルが、先日、外免切替の...

求められた追加書類の取得を、LTOに通ずる前の職場の同僚に依頼。快く引き受けてくれるも、送金した途端連絡が途絶える

結果的に、夫は二つの追加書類の提出を求められた。

一つは、イミグレで発行される「出入国記録(Certification of List of Travel Record)」。

外免切替では、免許取得から90日間はフィリピン国内に滞在していたことを証明する必要がある。

ところが夫は日本に来る直前に免許証を再発行したため、初めて免許を取得した2012年からパスポートを発行した日までフィリピンに滞在していたという証明がとれなかった。

古いパスポートがあればOKと言われたが、夫は私と知り合った2019年以降に初めてパスポートを取得したのでそもそもこの1冊しか持っていない。

そのため、この書類が必要ということらしい。

 

もう一つは、LTO で発行される「運転免許の経歴証明書(Certification of License)」。(これをもってマニラのDFAでアポスティーユをもらう。2019年からレッドリボンは廃止され、Apostille Documment Authentication に変更)

じつは私もよく分かっていないのだが、前の免許証のオフィシャルレシートがないため、これを取得するよう言われた。

新しい免許を取得したときに発行された新しいオフィシャルレシートは、公的な機関が発行したものにも関わらず「無効」の一点張り。

 

さて、悲劇を嘆いても事態は変わらないので、早速動くことにした。

二つの書類を取得するのに、いずれもマニラまで行く必要がある。バギオからマニラまでは片道平均6時間以上かかるので(今は新しい道ができて4~5時間で行けるらしいが)、控えめに見積もっても一日がかりだ。

ラッキーなことに、夫が来日直前まで自動車教習所で働いていたということもあり、元同僚の一人が助けてくれることになった。

日常業務の中でマニラのLTOへ出向くことも頻繁にあったので、この手の書類ならすぐに取れるという。

持つべきものは友。ということで、早速彼に提示された3500ペソを送金する。

フィリピンに精通している人ならこの金額(今のレートで約8800円)がいかに高いかすぐにわかると思う。

私は「手数料にしては随分高いな」と思いながらも、まあ本人に任せようということでスルーをキメた。

何もしなくても面倒くさいのがわかりきっているので、最初から関わらないほうがいい。

参考までに、夫がフィリピンで教師をしていた頃の月給が10000ペソだ。

 

送金した途端、それまでこまめに連絡をとっていた同僚のレスポンスが鈍くなり、ついには返事をよこさなくなった。

やられた。

うなだれる夫の横で、案の定の展開に思わず笑みがこぼれる日本人妻。

連絡を返さないので、どうしたものかと今も彼と一緒に働いている元上司に連絡したら、なぜボスに言う必要があると逆ギレされる。

同僚「既に支払い済みだなんて言ったら、まるで俺が金を騙し取ったみたいだろう」

ダニエル「連絡がつかなくなったからどうしてるのかと思って」

同「手続きをしてるのは俺じゃなくて俺の友達だ。その友達もまたある人を介して手続きを進めているから時間がかかってるんだよ」

ダ「二人もミドルマンがいるの?それは聞いてなかったから(笑)」

同「とにかく、君がそんなに急いでいるなんて知らなかったよ」

ダ「べつに急いではないけど、もう三ヶ月経ってるから(笑)」

同「あーもうめんどくさい、手続きはやらん。」

ダ「わかった。じゃあ返金おねがいしますpo」

 

こんにちは、フィリピン。

挙げ句の果てには「親戚じゃないと手続きできないらしい」と言い始める始末。

でも、バツが悪くなったのか、上司に話が伝わってしまったからなのか、お金はすぐに返してくれた。

一度消えたお金が手元に戻ってくると思わなかった。

まさか本当に悪気はなかったのか?と思えてくる。

お金はフィリピンにいるお義母さんの銀行口座に振り込んでもらい、向こうの家族の生活費に回すことにした。

突然マニラにいる親戚の存在を思い出し手続きを依頼する

コノミ
コノミ
 彼が頼みの綱だったのに、ダメだったね。どうする?

私には見えない。

バギオに住むダニエルの家族が、片道何時間もかけてマニラまで行き無事に二つの書類を手にして帰ってくる未来が。

そしてもう一つ。

仮にこちらの指示通りマニラまで行けたとして、無事に目標の書類が入手できる確信はない。

フィリピンで何かしらの手続きをしようとするとき、100%というのは存在しないということは、国際リモート婚を通じて身をもって経験した。

 

私たちは選択肢を3つに絞った。

① バギオの家族に頼んでマニラまで往復してもらう
→ 費用はほぼかからないが成功率50%

② ダニエルがフィリピンに一時帰国してマニラで手続きする
→ 飛行機代×往復+向こうの滞在費でハイコストだが成功率70%。しかし仕事の長期休暇期間でないと実行できないという難点。

③ 日本で自動車教習所に一から通い直す
→ 成功率100% 。ただし英語での教習代  数十マンに加え、平日フルタイムで働いてるためほとんど通う時間なし。

 

とりあえず①でやってみて、ダメなら②と③について検討することにした。

でもやっぱりバギオに住むダニエルの家族に頼むのは考えづらい。うまくいく保障もない。

ダニエル
ダニエル
そういえば、マニラに親戚がいるのを今思い出した。その人に頼もう
コノミ
コノミ
え?マニラに親戚なんて初耳。誰?
ダニエル
ダニエル
父親の弟の別れた妻の息子。  
コノミ
コノミ
…従兄弟だなそれは。そんな人いたんだ。もうあなたの家族とは全員面識があると思ってたよ
ダニエル
ダニエル
 僕も一度しか会ったことないけどFacebookで繋がってるから連絡してみる  

と言い終わる頃には、人生で一度しか顔を合わせたことがなく今の今まで存在すら忘れていた従兄弟に、十数年ぶりに「日本での運転免許取得のために必要な書類をマニラの公的機関で取得してきてほしい」というメッセージを打っている。

スマホの画面をなぞる親指の動きに一切の迷いがない。

フィリピン人というのは、息をするように人にものを頼む。

そして依頼されたほうもとくに嫌な顔せずできる範囲で協力してくれる。

自分のことに置き換えてみる。

たとえば遠い親戚から、十数年ぶり人生二度目の連絡で「やあ!久しぶり!元気?よかった、こっちも元気だよ。ところで僕は今アメリカに住んでいてアメリカで運転免許をとりたいんだ。そのための書類を大阪の役所で取得してきてほしいんだけど、協力してくれる?」

と言われてOKする日本人はどのくらいいるだろう?

私なら自分の都合やそれにかかる時間や労力を瞬時に計算する。それ以前に、そんなに親しい間柄でもない人に急に頼み事をされたら嫌悪感すら抱くだろう。

夫やその周りを見ていると本当に損得勘定がないんだなあ、と思う。

そして自分がそうだから、躊躇なく人にものを頼む。

これが、あの「パキキサマ」の精神ってやつなのか。

それで世界が回ってるんだからおもしろい。

 

パキキサマについてはまた機会があればゆっくり調べるとして、

そういうことで、十数年ぶり人生二度目に連絡をとった従兄弟に手続きを依頼することになった。

連絡をした数日後に、彼は役所に出向いてくれた。

一つ目の書類「運転免許の経歴証明書(Certification of License)」は、とくに苦労せずにとれた。

 

問題はもう一つの「出入国記録(Certification of List of Travel Record)」だった。

本人が窓口にいけない場合は、フィリピン大使館の公証が入った「委任状」がいるということだった。

フィリピン大使館にて委任状に公証をもらう ←new!

書類はネットでダウンロードした。

その委任状に、二人の証人からのサイン+パスポートの写しが必要ということなのだが、夫曰く

証人は「家族以外のフィリピン人」でなければいけない。

コノミ
コノミ
家族以外のフィリピン人って無理じゃない?どうやって探すの
ダニエル
ダニエル
工場で働いてたときの同僚が何人かいるから連絡してみる 
コノミ
コノミ
で、でた〜!【必殺・そこまで親しくない人にわりと重要なことを軽々しく頼む】〜!

こういうとき夫は本当に頭の回転が速くて関心する。

というわけで、ここでもフィリピンの「パキキサマ」助け合い文化の恩恵を受ける。

二人ともあっさりOKしてくれ、一人分は問題なく署名とパスポートのコピーをもらえた。

もう一人、署名はもらえたもののパスポートのコピーがなかなか送られてこない。

ここで夫はなぜか「あの人は仕事が本当に忙しいから… I’m shy to ask her anymore.」と諦めてしまった(笑)

この「I’m shy」も、フィリピンでは頻出ワードだ。

 

数日後、夫から衝撃発言。

 

ダニエル
ダニエル
証人はフィリピン人じゃなくてもいいらしい  

 

ここで私の口からは令和イチの「なんやねん」が出た。

面倒だからという理由でここまで関わろうとしなかった私が悪いのだが、そう言われて初めて目を通した書類には、そのどこにも「証人がフィリピン人でなければいけない」とは書いてなかった。

じゃあ何でそう思い込んでたのかと聞いたら、「大使館の人にそう言われた」。

 

このあとも日本の恩人が快く協力してくれて、二人分の証人の署名とパスポートの写しが整った。

よかった。

あとは大使館に行って公証をもらうだけだ。

というところで、夫からまたもや衝撃発言。

ダニエル
ダニエル
二人の証人は、窓口に同行する必要があるらしい
コノミ
コノミ
それは…無理じゃない? 

これはさすがにと確認すると、たしかにそう書いてある。

フルタイムで働いている三人が休みと時間を合わせて六本木のフィリピン大使館に行くというのは無理があるし、それ以前にフィリピン大使館まで同行してくれなんて、さすがに頼めない。

コノミ
コノミ
さすがにそれは無理だね。もう諦めて教習所通う?

一から教習所に通い免許を取り直すという選択肢にかかるコストや時間を考えるだけで、頭が痛くなってきた。

これにはさすがに二人ともネガティブになってしまい、しばらく現実逃避していたら、夫の元に一通のメールが舞い込んできて状況が一転した。

ダニエル
ダニエル
フィリピン大使館から。証人は同行しなくてよくなった。
コノミ
コノミ
メチャクチャだな

理由もなしにそんなに大胆な方針転換があるのか?と思いながらも大使館から送られてきたメールを読むと、間違いなくそう書いてある。

これは…神が私たちに味方してるとしか思えない。

フィリピン大使館は、今完全予約制。

だけど、1日先着5名に限っては予約無しで受け付けてもらえる。夫はそこを狙うらしい。

 

当日の朝、7時半に着くと夫は5番目。

ギリギリ予約無しの受付枠に滑り込んだ。

一番早い人は朝4時から並んでたらしい。

みんな必死なのだ。

先に並んでいた夫以外の4人が、お互いに「署名くれ」と証人になり合っていた というのは最高のお土産話で、久々に腹を抱えて笑った。

 

初めて鴻巣に行った日から8ヶ月、ようやくここまできた。

無事に大使館で公証をもらった委任状を、早速EMSでマニラの従兄弟に発送。

わずか3日で届いた。

このあと、その委任状を持って彼がLTOに行き、日本での外免切替事前審査を突破するための追加書類を取得しにいくことになっている。

今後の流れ

今後の流れとしては、

委任状を持って従兄弟がLTOで書類を取得

二つの追加書類を日本に郵送してもらう

それをもって鴻巣免許センターに行く

用意した追加書類が受理されればようやく外面切替の「事前審査」を通過となり、本審査に進める

認められなければ振り出しに戻る

 

こうして改めて文字にしてみると、気が遠くなる思いだ。

事前審査を通過してからがまた難関であるという噂もよく耳にするし。

ダニエルは無事に日本免許取得できるのか。

今後の展開に乞うご期待!