フィリピンに恋して。
~フィリピン・バギオのリアルライフ~
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夫が病気になりまして。①

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10月のよく晴れた土曜日。

念願叶って、保育園の行事にはじめて親子3人揃って参加できる!と前々からすごく楽しみにしていたのに、行きの道中で些細なことから喧嘩になってしまった。

我が家の喧嘩は、大抵私が勝手にイライラして沈黙を貫くスタイルだ。夫の歴代フィリピーナ彼女のように汚い言葉で罵倒したり物を投げたりしない代わりに、ちゃんと時間をとって話し合いの時間を持つまで何を考えているかさっぱり分からないジャパニーズスタイルは、さぞかし面倒臭いことだろう。

終始モヤモヤしながら保育園の行事を終えて帰宅した。

 

昼ごはんを食べ、昼寝から起きると夫が「お腹が痛い」と言ってきた。

痛みの種類や程度を聞いても「普通に痛い。でも下痢とかではない」とのこと。

日本語だと「ズキズキ」とか「キリキリ」とか「胃もたれのような」とか痛みを表す表現が沢山あるので伝わりやすいが、私の英語力が乏しいのもあり詳しくはわからなかった。

その時は私も「よくある胃痛だろう」くらいに思っていて、まだ朝の喧嘩の件で夫の発言にイライラしていたから、その意地もあって心配する素振りも見せなかった。

 

深夜、夫に起こされた。

「妻、病院に行けない?」

時計を見ると0時半。

起きがけで「今から病院か… 朝まで待てないかなあ」と思っていたのだが、なんだか普通じゃない痛がり方をしていたので #7119(埼玉県救急電話相談)に電話した。

#7119(埼玉県救急電話相談)は、急なケガや病気をしたとき、救急車を呼んだが方がいいか、今すぐに病院に行った方がいいかなど判断に迷ったときに、医師や看護師の資格を持った専門家からアドバイスを受けることのできる電話相談窓口で、我が家も時間外の急病のときは利用している。

 

そういえばロックダウンでフィリピンから出られなかったとき、お義父さんが夜中に腹部の激しい痛みを訴えて病院に行ったら盲腸と診断され、即手術だったことがあった。

当時アパートで夫と二人暮らしをしていて、「お父さんがヤバい。たぶん心臓発作だ」と言って出て行った夫が翌朝10時頃まで戻らず、私は一人部屋でソワソワしながら待っていたからよく覚えてる(なぜ心臓発作だと言ったのかわからないが盲腸だった)。

そのときと似たような症状だったので、二人ともなんとなく盲腸を疑っていた。

・昼頃には下腹部痛だったのが、今は右下腹部に移動
・立てないほどの痛み
・37.5度の微熱
・嘔吐はなし

電話口で看護師に状況を説明すると、近くの病院を3つ紹介された

「近いところから電話してくださいね」と言われて、提案された中で一番近い病院はクチコミも悪く自身もいい思いをしたことがないから絶対に行きたくなかったのに、私の性格上、その病院に電話をした。

直前に熱を計ると37.5度あったが、コロナが始まって以来その病院では37.5度あると診察を断られるのは知っていたから、とにかく早く診てもらいたい一心で「37.0度です」と嘘をついたら

「熱が出始めてるのでうちでは診られません」

と、あっさり断られてしまった。

これでクチコミ最悪な病院に行かなくて済む、と思い直し、次に近い病院に電話すると

「先生にお話したのですが、その症状だとうちではなくてもっと大きい病院でちゃんと診てもらったほうがいいです。たとえば〇〇病院とか」

と、看護師が教えてくれた。

一つ目の病院では門前払いだったのに、この対応の違い。

電話口で対応してくれた看護師と医師にいいことありますようにと願いながら電話を切り、春に娘の胃腸炎でもお世話になった大学病院に連絡して、車で向かった。

 

車中、Every Little Thing の Time goes by が流れていた。

すると後部座席から夫が、喉の奥から絞り出したような声で頼むから曲を変えて… Say good bye って言ってる…」と言ってきて、この男は死に際にもこんなジョークを言うのかなと、不覚にも笑ってしまった(縁起でもない)。

病院に着いた頃には熱は38.5度にまで上がっていたが、痛みはレベル8からレベル5に和らいだと言っていたし、駐車場から病棟まで自力で歩けていたので少し安心した。

深夜にも関わらず夫のために何人もの医師や看護師が動いてくれて本当に有り難かった。

担当してくれた先生は見た目年齢30代くらいのイケイケドクター。深夜だからなのか元々の人柄なのか終始ハイテンションで、看護師を呼ぶときも「ヘイヘーイ!」といった調子だったから、夫ともすぐに仲良くなっていた。

 

念のためにちょっと診てもらうくらいのつもりで行ったのに、こちらが思っているよりも大変なことが夫の体内で起こっていたらしく、結局数時間にわたり採血やCTなどの検査をしてもらったあと、点滴を打っている間に先生が説明してくれた。

「大腸で激しい炎症が起きているのは間違いないんですが、盲腸ではないですね。〇〇病院に紹介状を出すので、週明けに行ってもう少し詳しい検査をしたほうがいいと思います。

…最初に37.0度と言って即断られたクチコミ最悪な病院に戻された。(笑)

そこは嫌だと思ったが他にいい病院を知っているわけでもなかったので何も言えず。

 

帰りのタクシーに乗った頃には深夜3時半を回っていた。

夫がネットのクチコミを読めないのを良いことに車内で病院情報を見ていたら、日本語は読めないが「★☆☆☆☆」は世界共通なので、「その病院に行くの…?」と一瞬でバレて行く前から怯えさせてしまったのは申し訳ないと思う。

翌日は日曜日だったから病院には行けず、月曜の朝一番、二人して仕事を休んで例のクチコミ最悪な病院に行った。

②に続く。

 

(余談)

深夜の検査はほぼ一人の医師と数人の看護師が対応してくれていたが、最後に点滴を打っていると、他の患者の対応を終えた消化器科の専門医が駆けつけてくれた。

コノミ「原因って何なんでしょう?」

医「細菌が腸に入って炎症が起きているのは確かですが、原因はわからないですね。最近、生(ナマ)物食べました?」

コノミ「生物… 食べてないですね」

医「焼き鳥は?」

コノミ「焼き鳥…  焼き豚なら。フィリピン屋台で食べてたよね、金曜の夕方に」

医「ああ、食べたんだ… それなら合致がいくな」

それを聞いた瞬間、夫には申し訳ないがさすがに笑ってしまった。

日本に来てまでなんでフィリピン屋台のブタにやられてんだと。

我が夫ながらオチがしっかりしていて素晴らしい。