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【実体験】フィリピンの恋愛文化「リーガウ(Ligaw)」~私たちの場合~

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Twitterで、まりぼー君(@phili_malibooo)のリーガウが話題ですね。

 

フィリピンの恋愛における伝統文化のひとつである「リーガウ」。

一言で説明するなら「交際前に女性が男性を見極める<お試し期間>」といったところだろうか。

男性が気になる女性に「リーガウしてもいいですか(Can I court you?)」と申し込み、女性が承諾するところからスタートする。

リーガウが始まると、男性は意中の女性を射止めるためにあれこれ手を尽くす。

学校や職場の送り迎えはもちろん、何でもない日に贈り物をしたり、ご飯をご馳走したり、女性の家族にプレゼントをしたり。

 

コノミ
コノミ
めちゃくちゃお金かかりそう。フィリピンの男は大変だな

 

同じフィリピンでも山とローランドの文化はまったく違うというのはこのブログでも何度か触れているけど、リーガウも例外ではない。
(※ローランド(Low land)・・・山の人間は、コルディリエラ山岳地帯以外のすべての地域を総称してこう呼ぶらしい)

ローランダーは、一般的にケーキや花束を贈ったりレストランでご馳走したりと”金銭的に価値のあるもの”をプレゼントし、女性のハートを掴む。

一方で、昔からシンプルな暮らしをしてきた山岳民族イゴロットのリーガウは、なるべくお金をかけずに”自分自身の価値(力の強さ・優しさ・相手を思う気持ち)”を伝える。

まず、竹を運んでテントを作る。それから木を切って薪を量産する。生きた鶏を買ってきて捌き、用意した薪を使ってピニピカン(Pinikpikan=鶏を生きたまま捌いて丸ごと長時間煮込んだスープ)を作る。米の用意は脱穀の作業をするところから始まる。料理ができたら作ったテントでいただく。もちろん女性の家族も一緒に。

私が初めてイフガオの親戚の家でピニピカンのおもてなしを受けたとき、おじさんが「山の男は鶏を一人で捌けてようやく一人前だ」と言っていたのを思い出した。

まさに「胃袋を掴む」という言葉のとおりだ。

同じコルディリエラの中でも州によって使用言語が異なるように、リーガウのやり方もまた違うらしい。今回紹介したのはお義母さんの故郷であるイフガオ州のものになる。

 

これについて義母と話をすることができたので聞いてみた。

コノミ
コノミ
お義母さんも、お義父さんからリーガウを受けたのですか?
義母
義母
もちろん。4か月後にオーケーしたわ
コノミ
コノミ
えーっ!どどどどんなことを?(ドキドキ
義母
義母
毎晩のように私の家に来て話をしていったわ。お花もくれることもあった。それから手紙も

お義母さんはイフガオ(山)の出身だけど、お義父さんはマニラ(ローランド)の出身なので、ローランド式のリーガウを受けたらしい。4か月って結構長い期間やっていて驚いた。

夫は山とローランドの両方にルーツを持っているので、それぞれの文化やしきたりを場面で使い分けたり自分の好きなほうを採用したりしてる。

 

リーガウの期間は定められておらず、じゃあ終わりはいつなのかというと「女性が答えを出したとき」

女性が「この男性と交際したい」と思えばそこでリーガウは終了、めでたくカップルの誕生となる。逆に交際したくないと思えばきっぱりとお断りする、もしくはフェードアウト(自然消滅)で試合終了。

数日、数週間、数ヶ月と人によって期間は様々で、中には数年に及ぶ場合もあるとネットの情報でみたけど本当?実例があるなら普通に面白いので興味本位で是非聞いてみたい。笑

個人的には、特段の事情がある場合を除いて数年もの間「お試し期間」という名目で男性を「事実上のキープ」しておく女性にろくな人間はいないと思うけど。

ちなみにリーガウは、女性側が一度に複数人の男性からの申し込みを受けるのも、男性側が一度に複数人に申し込むのも、ルール上はアリらしい。男性側はバレたらおわりそうだけど。

 

リーガウに馴染みのない私からすればかなり興味深い文化ではあるけど、近年はリーガウを省いていきなり交際スタートするケースが増えているらしい。

リーガウ体験はただでさえ貴重なものになりつつあるというのに、人様のリーガウ事情を遠く離れた日本からリアルタイムで追うことができるのだからすごい時代だ。

というわけで、まりぼー君(@phili_malibooo)のリーガウ続報を待ちます。一視聴者としては、できればあっさりゴールインというよりは一波乱、二波乱くらいあってほしいですね!笑

 

コノミ
コノミ
うちはリーガウなかったよね〜
ダニエル
ダニエル
?!?!!あったじゃん!!!!(号泣)
コノミ
コノミ
あったの?申し込まれてないけどな
ダニエル
ダニエル
リーガウ知らないから申し込み不要だと思った

 

どうやら私は知らない間に夫からリーガウを受けていたらしい。

これはまた別の機会に気が向いたら書くつもりだけど、私たちは出会って一週間で付き合い始めるという「スピード交際」

その一週間のあいだに夫が私にしてくれたリーガウと思わしき行動を、思い出してみる。

 

・毎日の連絡

毎日というより「隙あらば連絡」という感じだよね。

これは出逢ったその日から、交際が始まってからも、結婚してからも変わらない。

基本的にはメッセンジャーで、時間に余裕があるときはこっちの都合お構いなしにバンバンビデオ通話がかかってくる。

おはよう、朝ごはん食べたとこだよ、これから仕事に行くよ、今ジプニーに乗ってるよ、昼ごはん食べてるよ、友達と会ってこんなこと話したよ(かなり詳細まで)、お母さんと妹とモールに行くよ、おやつにドーナツ食べてるよ、夜ご飯食べたよ、歯磨いてるよ、おやすみ

ところどころに「you are so beautiful.」や「miss you.」などのストレートな愛情表現を挟んでくるので免疫のない日本人女子はひたすらキュンキュンするか一発ドン引きかの二択だろう。

今では信じられないことに私も同じような言葉でごく自然に愛情表現するようになったけど、最初はやたら恥ずかしかったのを覚えてる。笑

 

・シルバナスとチョコレートケーキ

出会って数日後、初めて二人で出かけたときに、夫が学校の校門の前までバイクで迎えに来てくれた。

そのときにお菓子を受け取ったんだけど、彼曰くこれが渾身のリーガウだったらしい。

フィリピンの伝統菓子「シルバナス」。

私はこのプレゼントがそんなに大切なものと知らなかったから、ありがとうと普通に受け取った後、週末旅行に行く車中で友達がウマいウマいと頬張るのを眺めていたら自分は一枚しか食べられなかった。笑

けどあの時のシルバナスの味、しっとりした食感、絶妙にひんやりした感じが忘れられなくて、この間フィリピンに滞在していたとき夫にどうしても食べたいとFacebookでオーダーしてもらった。

そしたらやっぱり美味しかったけど、なんか私が記憶しているものと全然違った。

本当に味が落ちたのか、数年かけて思い出が美化されたのかはわからないけれど。

 

・カフェをご馳走してくれた

お菓子を受け取ったその足で、2ケツでタマワンビレッジまで行ってコーヒーをご馳走してもらった。

ネイティブシュガーの美味しさに感動したのを覚えてる。

 

…いや、列挙しようと思ったけどさ。

出逢ったその日から7日目で付き合ってるんだから、これくらいしかないよね。笑

 

夫の周り(20代後半)でリーガウの話は聞いたことがなかったからもうほとんど消滅しつつある文化なんだと思ってたけど、実際どのくらいの人がやっていることなんだろう。

イゴロットの中でも厳格な家庭に育ったという語学学校の先生は、今もきちんとリーガウの手順を踏まないと両親に交際を許してもらえないと言っていた。
(※イゴロット…コルディリエラ山岳地帯に住むマレー系民族の総称)

という話をしていたら、タイムリーで夫の親友のメルチャーが、今度交際をしたい女性のご両親に「娘さんにリーガウをしてもよいか」の許しを得るために会いに行くらしい、という話題が飛び込んできた。

ダニエル
ダニエル
That’s very old style!
コノミ
コノミ
Yeah that’s why I like him

昔からイゴロットに対する差別的なまなざしがある中で、周りに流されず古くからのイゴロットの慣習に誇りを持って生きる夫がカッコ良くて好きなんだけど、メルチャーも同じような価値観をもった人で、私の推しメンのひとり。

「娘さんにリーガウさせてください」と両親に挨拶にいくなんて、最高にクールだしロマンじゃない?めちゃくちゃ応援したい。