娘が2歳の誕生日を迎えた。
一年前、娘1歳の誕生日当日。
夫は入国直後で、
色々なことが落ち着いたらお祝いするつもりではいたのだが、「
隔離が明けたら明けたでバタバタとしていて、当日の朝「そうだ。
一升餅や選び取りなど日本の伝統的イベントは取り入れつつ、
事前に購入しておいた一升餅・選び取りセットを引っ張り出して、テーブルにはいつかフィリピンの誕生日会で見て以来ひそかに憧れを抱いていた “キャベツマシ
家にあるスマホをフル稼働させて動画撮影をしながら、
一升餅、選び取りはフィリピン人家族も興味津々で大盛り上がりだった。
一方で料理については「何でそんなに少ないの…?」と驚かれた、というより全員ちょっと引いていた。
義家族が質素な(私の感覚では普通の)
今は別々に暮らしている義父と義母は、
マニラ出身の義父の家系では、誕生日はとにかく盛大に祝う。ビュッフェスタイルの食事、
先日行われた義父の誕生日会では、どこかの島に親族総勢40人が集まったと聞いた。
義母の地元であるイフガオは対照的で、誕生日を盛大に祝う文化はなく、多くの家庭がクリスマス、
私は義母の家で過ごさせてもらうことが多かったので、
バギオでは、何度か誕生日会に招待してもらった。
当時夫と一緒に暮らしていたアパートの大家さんの娘の誕生日会では、バースデーガールの友達が15人ほどに加え、大人たちはそれ以上いた。私と夫は部外者だが、
義父家族の中の一人(
ジプニーの車内でたまたま話して友達になったママの誕生日会は、
地域や家庭によって差はあるにせよ、とにかく多くの人が誕生日という日をとても大切に、楽しみにしていると感じた。
先日、甥っ子が4歳の誕生日を迎えたとき、
バースデーボーイの写真入りの垂れ幕やキーホルダーを作るために
当日は一瞬だけリモートで繋いでもらったが、パッと見20人くらいの子どもが集
この準備に一体いくらかかったのかは不明だが、義妹は朝から晩までせっせと働いて得たお金をこの一日に費やしたという。
それほど彼女らにとっては誕生日、
夫は私と同じであまりイベントにお金をかけたいタイプではないのだが、今年は初めて自分で稼いだお金で娘のお祝いができるということで
数日後、仕事帰りの夫からメッセージが入った。
料理は手作りで…と思っていたが、去年は私の希望でやらせてもらったので今年は夫に任せようと、喉まで出かかった言葉を飲み込んだ。
夫が送ってきたFacebookのリンクに飛んでみると、
―数分後、夫からまたメッセージが入る。
定休日でもなく、開店時間からすでに一時間半経っているのに店が閉まっているとのこと。
ということは、ちゃんとしたフィリピン人が経営している店だ。
フィリピンではこれと似たようなことで時間を無駄にすることが多
夫は日本に来てからも、
別の日、今度はその店に「YOYAKU」の電話をしてみたが何度電話をかけても誰も出ない。
ダニエル「この辺でフィリピン料理デリバリーしてくれる店知ってる?」
店員「私たちデリバリーアルヨ!
ようやくデリバリー担当が現れたのは「ちょっとだけ待って」
優柔不断な私とは対照的な夫の仕事の早さは、時に私を困らせる。
・レチョン
・スパゲッティ
・ルンピア
・ビコールエクスプレス
・アンパンマンケーキ
・バルーン飾り
ダニエル「3man」
コノミ「3manって?成人男性3人分ってこと?」
ダ「ノー。3マンエン」
コ「さ、3万円?!」
ダ「そう。大人10人分」
コ「なんで大人10人分なの(笑)人数8人だよね?」
ダ「そう言ったけど、みんなおかわりするから10人分でいいって言わ
コ「レチョンって丸ごと?どういう状態で出てくるの?」
ダ「知らない。たぶんベリーレチョンじゃない?」(※
コ「スパゲッティは何ソース?」
ダ「しらない。何も言ってなかった」
コ「ルンピアは何本あるの?」(※ルンピア=フィリピン風春巻き)
ダ「聞いてない」
コ「ケーキって何の味?チョコ?」
ダ「それも言ってなかった」
コ「バルーン飾りってどんなの?写真見せてもらった?」
ダ「見せてもらってない」
コ「情報が何もないのだが」
見た目も味も実際の量も、
結局、量は大人8人分にしてもらい、
夫に任せると言ったくせに結局口を出している。いや、出さずにはいられなかったのだ。
装飾に関しても自分で用意するつもりだったが、夫がいつも良くしてもらっているお店であんまりケチケチするのも良くないと思い、もう気にしないことにした。
誕生日会当日。
プレゼントで用意した「おままごとセット」の組み立ては夫に任せ、
食事は結局、ご飯、パスタ、生野菜、フルーツだけこちらで用意した。
この量を自分たちで作るとなるとあまりにも大変だ。たまには料理をプロに任せるのもいいもんだ、と思った。レチョンの状態も、ルンピアの本数も、ケーキの味も、何も分からないままだったが一体どんなものが配達されてくるのか楽しみになっていた。
と、甥っ子の体調不良で参加者のうち3人が来られなくなるハプニングが発生。
料理は大人8人分頼んであるので、
父「クリスマスイブ当日に誘って来てくれるなんて、
コノミ「父上、その発言は失礼でありますがゆえ」
4時半過ぎに料理が到着。
高級車が家の前にとまり、中からオーナー夫婦が出てきた。
夫とタガログ語でなにか喋っている。
私は隣でニコニコしながら食事を受け取った。
聞き取れる単語から、どうやらバルーンの話をしているらしい。「ごめんね~」と言っている。
最初に言われていたとおりの金額を渡し、
大人8人分あるとは思えない量だった。そして昨日の夜に作ったのか、完全に冷めている。
コ「バルーンは?」
ダ「昨日全部膨らませて用意してたんだけど、
コ「謝ってたのそれか」
それにしても、バルーンを用意できなかったことについてもっと上手い言い訳は他になかったのかと思う。
コ「絶対足りないよ!マサ呼んじゃったしどうする?」
誰もいないのに小声で夫に話す。マサには「食べるものはたっぷりあるから手ぶらできてね!」
結局、マサを駅でピックアップした帰りに近くの中華料理店で追加の料理をテイクアウトした。
予定を30分くらい過ぎて誕生日会を無事に始めることができた。
さすが注文段階からフィリピン感をもろに出してきただけあり、本場の味だった。これには日本に来てからずっとフィリピン料理が恋しいと言っていた夫も大
▼絶品のベリーレチョン
冷凍のアンパンマンケーキは手作りではなくどこかで購入したもの
親友のマサも来てくれ、
フィリピンという国は、いつもこちらの予想の上をいく。
当日まで何が届くかわからない「料理ガチャ」も、
あまりイベントごとを重視しないタイプだが、家族ができてからはもっぱら楽しみになった。
来年も、再来年も、どんな形でも、家族の記憶に残るような日になればいいと思う。