金曜日の朝はちょっと楽しみ。
夫の仕事が休みなので、
娘のお世話もほぼ丸投げして、余裕があればコーヒーだって飲める。
夫が抱っこ紐で娘を前に抱えて、三人で話しながら駅まで歩く。
家を出る時間はいつもと変わらないのに、夫がいてくれるだけでなんとなくゆったりとした時間が流れる。
この日、
遠目からみてすぐに電車の遅延だと察した。
鉄道の存在しないバギオという都市からきた夫にはこれが珍しくて
「日本ではそんなに人が死ぬのか」と沢山の反応がつくらしい。みんな興味津々。(遅延の原因が毎回自殺や人身事故でないことは説明済み)
時刻は8時半。
復旧見込みは13時以降だというからかなり大ごとのようだった。
改札の向こう側には、特急列車の払い戻しと遅延証明書の受け取りで長蛇の列。みんな静かに並んでいて、こんなところにも日本を感じる。
職場の同僚が同じ駅を使っていることを知っていたのでLINEし
アプリを駆使しながら思いつく限りのルートを挙げて、
このへんに友達はいないはずだし、職場の同僚かなあ。
職場までの行き方の目処が立ったので、そこではじめて夫に目をやると、
「友達?」
「さっき友達になった。Jだよ。彼の奥さんも日本人らしいよ」
どこかで見覚えのあるこの場面。
バギオで夫とジプニーに乗ったとき、
あるときは、
自分の家の敷地内でゲームをしている「たぶん従兄弟」
見ず知らずの人に昔からの知り合いかのようにいきなり話しかけて親しくなるのは、
相手の反応が悪ければ、それ以上は干渉しない。「暑いね」
そうやって今まで無限に友達を作ってきた夫のことを、
Jも会社に向かおうとして、足止めを食らったらしい。
私と違って、13時まで動かないその路線を使う以外には会社に行
ただただ電光掲示板をみて時が過ぎるのを待つJに構わず
そのうち彼も会社に行く気がなくなったのか
「じゃあ、私たちは会社に行くよ。」
というと
「じゃあ、僕たちはそのへんでコーヒーでも飲んでくるよ」
と、二人して人混みに消えていった。
仕事を終えて、あの後二人はどうなったんだろう〜
「Jの家でお茶してきた」
というからおどろき。
お茶したの?いきなり家に?大丈夫だったの?
「駅でたまたま知り合った人と仲良くなって家に招かれる」
翌日は土曜日。
これといった予定はなく朝から家の掃除をしていると、夫が
「妻、Jの家に行こう」
と言ってきた。
昨日知り合った人の家に連日お邪魔するの?
フィリピンにいた時は気にしなかったけど、
外国人の旦那同士は昨日親しくなっているけど、日本人妻同士は「
しかもこれはフィリピン人と結婚してる人ならわかると思うけど、会話における情報量が圧倒的に少ない ので、状況を把握するために何度も会話のキャッチボールをする必要がある。
「Jの家に行く」
このたった一つの事実について、
・何時に行くのか
・何時に帰るのか
・そこには誰がいて何をするのか(
少なくともこの情報がないと日本人妻は動けないのだ。
一歳半の子どもを連れて行く準備に最低15分、
相手の都合を気にせず急に手ぶらで押しかけてテキトーに滞在して
そこんとこを夫は理解してない。
きっと向こうの家でも同じような会話がなされているんだろうな、と思ったらちょっと笑えた。
結局、「昨日駅のホームで知り合った人」の家に二日連続で、
方向的にスーパーしか寄れるところがなく、全然見栄えのしないジュースとケーキを買って。
家の前まできて、
ねえ本当に大丈夫かな?
奥さんにちゃんと話通ってる?
と(いつもどおり)私がモソモソゴニョゴニョしていると、ドアが開いてJと奥さんが出迎えてくれた。
玄関先で少し話した段階で違和感に気付いたのは私だけじゃないだろう。
Jが「それで… どうする?家に上がっていく?」と聞いてきたとき、すべてを察した。
さすがに笑いそうになりながらも、手土産を差し出した手を今さら引っ込めることもできず、
Jも奥さんも、とても気さくで明るいご夫婦で、
幼稚園に通うシャイボーイは、お気に入りのレゴを娘に貸してくれた。
結局話が盛り上がってお昼過ぎまで居座ってしまったのだけど、
どこもそうなんだなあ と思った。笑
夫は、休みのたびに出かけては友達を作って帰ってくる。
実はこのあたりにフィリピン人は結構多いらしくて、
電車で同じ車両にたまたま乗り合わせたフィリピン人マダムに話し
フィリピンにいたとき、
不思議なことに、日本にいても夫と一緒にいるとどんどん友達が増えていく。
誰とでもすぐに打ち解けてみんなに愛される、彼の才能。
最近、夫をジャパナイズ(日本人化)