32歳の誕生日を迎えた私。
誕生日の前日、仕事終わりにスマホを見ると母からLINEが入っ
母は、日々夫や娘のことについて「これは」
電車の中で「ありがとう!」と返信しつつ、思わずフフッと笑ってしまった。
帰宅早々、夫が物悲しい表情で私の前に正座した。
「Hey mahal, I have something to tell you.」
夫がこういうときは、深刻な話題・どうでもいいこと のどちらかだと決まっている。
内容は知っていたが何も知らないフリをして「どうしたの?」
「誕生日プレゼントを買いに行ったんだよ。ツマのスマホ、
「スマホを買おうとしてくれたの?なんてやつ?」
「iphone13mini」
「色は選びたいよ(
「絶対気に入るよ!!!でもおかあさんに話したら、『
母から聞いた話とまったく相違がなく、逆に笑ってしまった。
「気持ちは嬉しいけど、
…と言いつつ、
ー
夫のサプライズ下手は今に始まった事ではない。
付き合い始めて間もない頃、デートに誘われた。
当時私はバギオの語学学校に通っており、
家の前でタクシーが停まると、
「We have chaperone today.」
若い女性の付き添い人のことを “チャペロン=chaperone” というんだよと、ため息混じりに教えてくれた夫のほうに目をやると、髪が短くなっている。
受け取ったばかりの給料で髪を切り、たった一夜のデートのためにモールでシャツとジ
(思えば、
「今日はいいお店に行こう」と連れて行ってくれたのは、キャンプ・ジョン・
すると、メニューをもったホールスタッフがまってましたと言わんばかりにサッと机の横にきて得意げに言った。
店「今日のテーマは日本料理です」
ダ「Oh my god. それ一番ダメなやつ!」
コ「なんで?いいよ、私は」
ダ「だめだめ。
今日はここと心に決めてきただろうに、呆気なく店を後にした。ことごとくキマらないところがいかにも夫らしく、
結局、
思えばあの頃はお互いの価値観もよくわかっておらず、
今では、あの日飲んだ一本800ペソもするワインを話のネタに、
ワンランク上の店で背筋を伸ばして上品な料理を食べ
ー
そんな夫にも、一度だけサプライズ成功の事例がある。
結婚後、
「ツマ、何か欲しいものある?」
私は、フィリピンに行ってからというものなぜか物欲がなくなり、
その日も欲しいものはなかったが、毎度毎度同じ答えなのでたまには… と、洗濯物を畳みながらあまり深く考えずに「…強いて言えばマフラーかな。今、
クリスマス当日、私より早く仕事に出る夫が、
「ハイ、ツマ!」
と、嬉しそうな笑顔で私に袋を押し付けて、
もうすぐ2歳になる娘が「ごみ?」と無邪気に聞いてきた。ごみと思うのも無理はないようなポリ袋に入っていたからだ。
袋の中を覗くと、私が欲しいといったマフラーが入っていた。
4つ。
マフラーが4つも入っていた。これにはおったまげた。
パートナーにマフラーをもらう人はたくさんいるだろうが、「一度に
その頃X(旧Twitter)では毎年恒例の「4℃炎上問題(30代女性が4℃のネックレスをクリスマスプレゼントにもらって炎上)」