もう随分前のことのようだが、ある土曜の深夜に、
検査の結果、
紹介状を持って向かった総合病院はこれまでも何度か単発で行ったことがあるものの、ちゃんと通うのはこれが初めてだ。
クチコミのとおり色々と酷かったが、ここでは割愛。
最初に行った病院と同じく採血やCT検査、
という心の声が勢い余って口から漏れていなければ夫には聞こえてなかったはずだ。まあ、
ところが10分くらい待ったあと、
急に二週間入院か一ヶ月通院かと言われても、
僕は炎症が酷いので入院したほうがいいと思うけどね、
「じゃあ明日までに決めてきて。シンキングね!はい。はい。」
夫にも分かるように(?)頭を指さして「thinking」
私が娘を出産したとき「年末だからみんな帰省して人が足りない」
とりあえず、医師の塩対応を見る限り特段ヤバいことでもなく、
帰宅後、所要時間1分ほどの医師の説明を元にネットで調べた結果
大腸には憩室と呼ばれる薄い膜があり、
仕事を休みたくないという本人の希望で通院するつもりでいたが、「身体がSOSを出しているんだからしっかりと治療
翌日、また病院へ行って入院したい旨を伝えると「コロナ禍で面会は一切禁止」。
バタバタしていて気が付かなかったが、それはまずい(
「本人の身体のことを考えると入院したいんですが、夫は外国人で日本語がわからないんです」と話しても、
(特例を作るわけにいかないってことはわかるけどね)
初めての日本の病院で、二週間もひとりで入院し、
こうして、夫の通院生活が始まった。
当然、私も通訳要員で付き添わないとならない。
日本で外国人パートナーと暮らすというのはこういうことなんだ
最終受付の16:00までには病院に着いていないといけないので、双方の勤務先にお願いをして治療が終わるまで毎日早退させてもらうことになった。
日本語での会話力はそこそこあり、
ナース「今、おなか平気なの?」
ダニエル「へいきってなんですか?」
ナース「…オッケーってこと」
ダニエル「あー、オッケーです」
―別の日
ナース「昨日どっちやった?」
(訳:昨日、どちらの腕に点滴を打ちましたか?)
ダニエル「もう一度お願いします」
ナース「昨日どっちの腕にやった?」
ダニエル「すみません、わからないです」
…そりゃそうか。(笑)
主語が省略されがちな日本語という言語。それに加えて容赦なくタメ口で話しかけてくる看護師を前に、この10か月で培
それをみて、時短勤務はファミリーエマージェンシーだから仕方がないとようやく腹をくくることができた。
ーーー
病院の待ち時間は長い。
数日通って分かったことだが、患者の99%が老人だとこんなこと
「田中さーん(仮名)」
と看護師が患者の名前を呼ぶ。
5回呼んでも反応がない。
「どこかへ行っちゃったかしら」
と看護師が裏に消えた後に、呼ばれた田中さんが10メートル離れた場所から「
田中さんが受付に辿り着く頃には、名前を呼んだ看護師はもういない。
「あれ?勘違いか」
元いた場所に戻る。
永遠に順番が回ってこない。
毎日延々と繰り返されるこの寸劇を、私たちはただ眺めながら自分たちの時間を待った。
ーーー
ただ病院に通うだけなのに、夫の観察は面白い。
ある時は、
「ボタンおしますよ」
と、代わりにボタンを押してあげる。
またある時は、点滴が終わっているのに誰にも気づかれず(
「すみませーん!この人の点滴終わりました」
と、代わりに看護師を呼んでいた。
目の前を通過した女性にすかさず
「おばあちゃんは本当にオシャレですね」
と声をかけた時には、
「あらっ、やだぁ〜///」
と、おばあちゃんを精神的に20歳くらい若返らせていて、
ーーー
夫の血管はあまりに細い。
フィリピンで病院に行った時にも、針を刺す血管を探し当てるのに看護
ベテラン看護師ですら悲鳴をあげていて、酷い人は3回刺して、
左腕はタトゥーがカバーしているので看護師は一目見ただけで「
気付けば夫の右腕には針の跡が無数にできて、
▼待ち時間に今日のスタメン(看護師)をチェックする夫
ーーー
通院中の食事は「柔らかいもの」「胃にやさしいもの」
工場に勤務していた頃は毎日巨大おにぎり×2とカップラーメン、今の職場に変わってからは栄養満点の学校給食にお世話になっていたのに、料理苦手の私がいきなり「愛妻弁当デビュー 〜
作る側の私の気分を上げるために保温スープジャーが付いた弁当箱を買いにホームセンターに行ったはいいが、
最初は日本風のお粥やうどんを作っていたが、
「(フィリピン弁当は味が濃くて)本当においしかった!!!(日本のは味が薄い)」
と大きな声で感想を言ってくれるからとても分かりやすて良い。
インスタグラムのタイムラインに流れてくるような色とりどりのお弁当や品数の多い晩御飯より、
ーーー
入院なら二週間、通院なら四週間と言われていたが、
最初は点滴の針を刺す血管を探し当てるのに苦戦していた看護師た
医師も最後に顔を合わせたときは、
双方の職場にとても心配をかけて私自身も精神的に疲弊しかけたが、
・国際結婚健康第一(病院は付き添いマスト)
・老人が溢れる病院内では世話焼きフィリピン人が大活躍(
・愛する人への弁当作りは意外と苦にならない
など新たな気付きもあったので良かった(?)
大好きな仕事を早退して腕にいくつもの針穴を量産するはめになって、さすがの夫もこたえたらしい。
あれ以来コンビニで大好きなジャンクフードを買うのは一切やめて、代わりにサンドイッチやヨーグルト、プロテインバーを買うようになった(コンビニ食をやめたほうがいい)。
念願のエニタイムフィットネスも登録し、朝の4時だろうが夜の10時だろうが毎日自分の行きたいタイミングで行っている。
いつも思うことだが、娘と夫が元気だと私が精神的に半端なく安定する。
初詣に行ったら健康祈願のお守りを買おう。