フィリピンに恋して。
~フィリピン・バギオのリアルライフ~
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血に染まる町、イフガオ。悪魔の実?【MOMA】の正体とは

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先日、二泊三日でイフガオ州はキアンガン~フンドゥアン~バナウェを旅行してきました!

9か月ぶり、二度目のイフガオ訪問。

一年前に初めてイフガオを訪れたときの率直な感想は、何もない」

世界遺産のライステラスで有名なバナウェなどの一部観光地にこそレストランやホテルがあるけど、そこからさらに北へ3時間、彼の叔父が住むフンドゥアンへ行けばショッピングモールはもちろんのこと、ランドリーショップも、ジョリビーも、電波もない。

代わりにあるのは澄んだ空気、無限に広がる緑、力強く生きる人々、美しい伝統的文化。

あとはどこまでも続く一本道と、サリサリストアだけ。

何もないけど最高な場所。

▼ユネスコ世界遺産に指定される「イフガオ棚田群」は圧巻。写真ではとても伝えきれないので是非行ってほしい

そんな大好きなイフガオですが、はじめて訪れたときはおったまげました。

イフガオに足を踏み入れたばかりの私が目にしたのは、現地人とみられる数人の男性が笑い合いながら、血のようなものを口からピュッと吐き出している光景。そして彼らの口は赤く染まっていたんです

よく見ると、道路にも血痕のようなものが点々とありました。

何も知らずに行ったもんだから、人の肉を喰う文化でもあるのか?って本気で思いましたね。

イフガオ族の嗜好品、Moma

イフガオに住む人々の口を赤く染めるもの。

これは現地では”Moma”と呼ばれ、ヤシ科の実を細かく切ったものを少量の石灰と一緒に葉っぱにくるんで噛む、いわゆる「噛みタバコ」のことです。

イフガオ州では住民の嗜好品として広く親しまれています。

▼イフガオ州に入った途端に多く見られる、Momaの木

英語ではBitter Nuts、またアジアの広い地域ではビンロウと呼ばれているものですね。

噛み続けると唾液と混ざって化学反応を起こし、口の中に赤い汁が溜まるので、その汁は飲み込まずに吐き捨てます。

Momaが流通している地域では、人々が吐き捨てたMomaの汁が赤い道路を作るそうです。

軽い覚醒作用があり、依存性もあり。

イフガオにはヘビーモマーカーが多く存在し、彼らは暇さえあればMomaを噛んでいるため、常に口が赤く染まっています。

イフガオの叔父さんちを初めて訪ねたとき、初対面で笑いかけられたら叔父さんの口が真っ赤に染まっていてギョッとしたのを今でも覚えています。

Moma 人気の秘密

なぜ他の地域では見られないのに、イフガオに入った途端にみんなMomaを噛んでいるんだろう?

その理由のひとつには、イフガオの気候が関係しているようです。

イフガオ州はルソン島北部に位置し、寒い時期では朝晩が10℃以下まで冷え込むこともあります。

イフガオといっても広いので、その両端で気候も全然違ってきますが、

州の入り口であるキアンガン(Kiangang)では半そで+短パン+サンダル、奥のフンドゥアン(Hungduang)まで行くとダウンジャケットが必須、なんてことも。

MOMAを噛むと、石灰が口の中で化学反応を起こし身体がポカポカしてきます。

そのため特に寒いフンドゥアンではMoma人口が急に増えるそうです。

 

あとは、現地の人に言わせれば シンプルにやることがないから なんだとか(笑)

たしかに、観光スポットを除けば山と家とサリサリストアくらいしかないしね。日々の喧騒に疲れた人がリフレッシュ休暇を過ごすのにはもってこいの場所だけど、現地の人の生活を見ていると軽々しくここに住みたい!とは言えないかな。

週末がくるたびに棚田を眺めてるわけにもいかないし。

だから休日はみんな昼間からお酒飲んでMomaを噛んでいるんです。

▼フンドゥアンのセッションロード(日本でいう竹下通り的な)。長期滞在だと特にやることもなくなるのでここでビールとバーベキュー(10ペソ)をオーダーするのが最高な過ごし方

Momaはどこで手に入る?

イフガオでの入手方法

Momaは、イフガオだとどこのサリサリにも100%売っています。

▼Momaの実3つ、葉っぱ5枚、石灰少々の三点セットで15ペソ(約32円)。

ただ、イフガオでは実質無料で手に入るので現地の人はわざわざお店で買ってないイメージ。

そこら中に生えているMomaの木から実をとり、たまに生えている葉っぱを見かけたらむしって財布やポーチに貯めておきます(ずっとしまっておくと乾燥してくるので採れたて新鮮がいいらしい)

▼手前の黄緑っぽいのがMomaに使用する葉っぱ。黄色は新鮮な証拠

イフガオからバギオ方面に車を走らせていると、だんだんととMomaを販売する店舗数が減っていくのに気が付くんですがこれも面白かったです。

バギオでの入手方法

バギオだと、パブリックマーケットで購入可能。最近はサリサリストアでも販売しています。

去年滞在していたときは見たことなかったけど、Momaってものを知らなかったから目につかなかっただけだと思う。

1セット25ペソ(約53円)。イフガオより10ペソ高い。

Momaの作り方

イフガオが第二の故郷でもある彼に、Momaの作り方をレクチャーしてもらいました。

①乾燥させたMomaの実を半分にカットし、さらに細かく砕く(すりつぶしてもOK)

▼これが乾燥させたMomaの実。使うのは種が入っている真ん中の部分

②石灰を少量入れ、葉っぱでくるむ

③葉っぱごと口にいれ、しばらく噛み続ける

④出てきた赤い液体は飲み込まず、吐き捨てる

町を守れ!Momaに関する条例

今回のイフガオ訪問で、あることに気が付きました。

去年来た時よりも道が格段とキレイになってる…!

というのも、今回は日本から来た友人と一緒に行ったので「イフガオに入った途端に道が真っ赤に染まっててびっくりするよ!」という話を事前にしていたのに

一向に赤い道が現れなかったんです。

バナウェパブリックマーケットに立ち寄ると、その謎が解けました。

NO SPITTING OF MOMA HERE! の注意喚起が、5m間隔で吊るされていたんですね。

なんでも2019年に制定された条例らしく、去年真っ赤だったはずのこのエリアが、今は跡形もなく綺麗になっていてびっくりでした。

注)バギオでも3月に「公共の場でのMOMA禁止」というバギオ市の条例が発令されたので要注意

 

▼条例違反のペナルティはこちら

コート内でMomaを吐くことや、ポイ捨ての禁止。

・一度目のペナルティで罰金50ペソ+吐いたMomaの処理とゴミ拾い
・二度目のペナルティで罰金100ペソ+道路及び下水道の清掃(2時間)
・三度目のペナルティで罰金400ペソ、もしくは道路及び下水道の清掃(4時間)

一度目と二度目のペナルティでは罰金の支払いに加えて清掃が義務付けられるけど、三度目になるとどちらか選べるらしい。

それだけ400ペソがイフガオの人々にとっては大きい出費であることが想像できます。

バギオの平均月収が日本円にして大体3~4万円だと聞くけれど、イフガオの平均月収はその半分程度もしくはそれ以下だと叔父さんが話してくれました。

まとめ:イフガオで友達が欲しくばMomaを噛め

もしイフガオで、現地の方とTambay(たむろ)する機会があれば、お酒を飲むより一緒に焚火を囲んでMomaを噛むことをおすすめします。

あっちの人って、シティの人と比べてシャイで無口の人が多いんです。でも一度打ち解ければ家族のように温かく迎え入れてくれます。

言葉が通じなくても、お酒が飲めなくても、Momaを噛めば距離はぐっと縮まること間違いなし。

外国人がMomaを噛んだぞ!!!とげらげら大笑い。

それ以降、「Momaを噛んだ外国人」として仲間認定されます(笑)

とはいえ依存性があるようなのでほどほどにしておきましょう。