フィリピンに恋して。
~フィリピン・バギオのリアルライフ~
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【完全実話】フィリピンでアラサー女子がアタマジラミに感染した話。

記事内に商品プロモーションを含む場合があります

これは、コロナ禍のフィリピンで繰り広げられた

アラサー日本人女子とアタマジラミの壮絶な戦いを描いたノンフィクション物語です。

闘病記録

シラミ発生~帰国まで

8月22日

「そういえば、今日シャンプーしてたら頭からシラミが落ちてきたよ」

フィリピン バギオでフィリピン人彼氏と同棲を開始して9か月。

夜、机に向かって作業していると、彼が報告してきた。

その時点では、完全に他人事で「シラミ?ヤダー!可哀想!」くらいにしか思っていなかった。

何事もなくいつも通り就寝。

帰国まで14日。

ーーー

8月23日

夕方、いつもと変わりなくシャンプーをしていると、手の甲に2~3ミリくらいの小さな虫がついているのを発見。

小さいけれど、茶色くて足が6本くらいついているのが目視で確認できた。

すぐに昨日彼が報告してきたことを思い出し、いそいで彼を呼んだ。

「ねえ、これってまさか・・・」

「Oh yes, シラミだね」

オーマイゴッド。

他人事だと思っていたシラミが、一気に自分事になった。

でも、そもそもシラミって?

この時、自分の中でシラミの知識はない。

ただ一つ覚えていることがあった。

それは幼少期に祖母の家に遊びに行ったとき、どこからもらってきたのかシラミに感染していた私と妹が、母にシラミ用の白い粉を頭にぶっかけられ、鏡に映る真っ白頭の自分たちを見て楽しそうにケラケラ笑っていた光景だ。

だからそんなに深刻に捉えていなかったし、その「白い粉」をぶっかければすぐに治ると思っていた。

彼が「ごめんね。きっとこの間妹たちがここに泊まったときにうつったんだ。」と謝ってきた。

妹たちはたまにシラミに感染していて、痒いときは専用のコームを使ってどうにかしているらしい。

なるほど、フィリピンでシラミはよくあることなんだ。

その程度の認識だった。

帰国まで13日。

ーーー

8月24日

フィリピン滞在中も、日本の家族とは頻繁に連絡を取っていた。

この日も、グループLINEで昨日の出来事を報告。

「シャワー浴びてたら、シラミの母親が髪から落ちてきたんだよ」

すぐに家族から反応が返ってきた。

「うわー!シラミ!!!」
「頭にいたんだ」
「タオル、彼氏と共有するのやめな!」
「枕カバーも、毎日洗うかタオル巻いて寝るかしな!」
「たまご全部潰して髪切りな!」

普段滅多に反応しない妹からも、この日はメッセージを送って2分後にすぐ反応があったので驚いた。

あれ?なんかすごい嫌がられてる・・・?

その後も家族からの反応は止まらなかった。いつもなら私のLINEにこんな反応されないのに、なんか複雑(笑)

「日本に来る前に全部やっつけてきてよ」
「ピンセットで潰して、病院で薬もらって、髪切るんだよ」
「日本でシラミに感染したら、子どもは保育園や幼稚園なんか行けないレベルだよ」

シラミってこんなに大ごとなの?

家族があまりにも大騒ぎするもんだから、ネットで調べてみた。

そして、分かった。

日本では、シラミは大ごとだ。

特に子育て中の母親の悲痛な叫びがネット上で飛び交っている。

なんでもシラミの感染力は凄まじいらしく、学校や幼稚園、保育園など子どもが多く集まる場所では集団感染することもあるらしく、厄介らしい。

「不潔だからシラミに感染するわけではありません。お子さんがイジメの対象にならないよう、正しい認識を!という警告を出している市のホームページまである。

なるほど、シラミは下手したらイジメの原因にもなり得るものなんだ・・・

ただでさえフィリピンで好き勝手やっているのに、お土産にシラミなんて持ち帰ったら今度こそ家族に勘当されるかも・・・

その後も家族からの総攻撃は続いた。

「うつりたくないから帰国前に全滅させてきてよ」
「(ペットの)犬にうつったら最悪。ばら撒くことになるからね」(その後の調べでアタマジラミはヒトの頭にしか寄生しないということを知った)
「全部なくしてきてね~」
「本当にやだwww」
「帰国後は美容院にだって行けないんだからもしも見つけたらバリカンで頭剃るよ」(コロナ禍で海外からの帰国者は14日間の自宅隔離期間がある)

 

うちの家族は基本的に仲がいい。

家族にここまで存在を否定されたことのなかった私は、なんだか急にめちゃくちゃ悲しくなってしまった。

10か月ぶりの実家で、家族に会えるのをとても楽しみにしていた。

それなのに、アタマジラミのせいで、今その家族からまるでバイ菌扱いされている。

気が付くと目から涙が溢れていた。

アパートのキッチンでわんわん泣いた。

シラミに寄生されて号泣する彼女を目の前に、「大丈夫、泣かないで。僕が何とかするから」と全力で慰めにかかるフィリピン人彼氏。

シラミごときで泣きわめく日本人の話を彼伝いに聞いて大爆笑するフィリピン人家族。

「もう絶対殺してよ!!!全部!!!!!じゃなきゃ私が家族に殺される!!!!!!」

と、号泣しながら何も悪くない彼氏を責める私(ごめん)

帰国まで12日。

ーーー

8月25日

朝起きたら、なんだか吹っ切れていた。

敵は所詮アタマジラミ。

シラミごときに私の帰国を台無しにされてたまるか。

多少コストがかかっても、できることは全部やって、一匹残らず潰してやる!!!!!!

 

ということで、シラミグッズを購入するため街に出た。

▼戦利品がこちら。

①大きめのバスタオル×1 110ペソ(約240円)
家に替えのベッドシーツはないし、新しいの買うにもちゃんとしたベッドシーツじゃ高いので、バスタオルで代用しようということで購入。

②ハンドタオル×4 各14ペソ(約30円)
枕カバーの代わりに。
毎日枕の上に新しいタオルを敷いて寝る。

③シラミ専用コーム×2 各25ペソ(約55円)
ドラッグストア回ってもなくて諦めかけていたら、タオルを買ったのと同じ雑貨店にあった!しかも一つ25ペソと安い。嬉しい。
彼用と私用と、色違いで購入。
ペアTシャツでもなく、ペアマグカップでもなく、ペアシラミコームでラブラブ度up間違いなし!

④シラミ専用シャンプー 60ml 242ペソ(約530円)
こちらも、ドラッグストアならどこでも売っているわけではなく、4軒回ってようやく手に入れた。

最初、1回使い切りタイプの方を出された。一袋39ペソ。

「二人で一週間使うとして14袋買う…?」
「546ペソ?No,高すぎるよ!」

なんて会話をしていたら店員さんが気を利かせて「ボトルタイプもあるよー」と持ってきてくれた。
ボトルタイプは大小あって、大(60ml)を242ペソで購入。

 

帰宅後、まずはシラミ専用コームを使って髪をとかした。

自分でもできるけど、頭のてっぺんは見えないので彼にやってもらった。

▼真剣な眼差しでシラミを探す。シュールな光景。

とかし始めてすぐに、成虫が落ちてきた。(とれたシラミは逃がさず殺した方がいいので、白い紙を敷くのがおすすめ。成虫も卵もよく見える)

生きてる…!!!!!

生まれて初めて自分の頭から生きたシラミがとれるのを目で確認して、それはそれは気持ちが悪くて吐きそうだった。(私氏、虫が大の苦手)

合計3匹、成虫が発見できた。

その後お風呂に入ろうと、干してあったボディタオルを手に撮った瞬間、発狂。

さっき私の頭から落ちてきたものと全く一緒のものが、くっついていた。

しかもコイツ、生きてる。

昨日私がシャンプーした時に頭から落ちて、ボディタオルで身体を洗っている時についたのがそのまま残っていたんだ。

凄まじい生命力。

よく見ると2匹ついていた。ゾッとする。

ボディタオルを端から端まで穴が開くほど注視して、もうヤツがついていないことを確認してから風呂に入った。

通常通りにシャンプーとコンディショナーをしてから、シラミ専用シャンプーをした。

薬品独特のニオイが結構キツめ。除光液みたいな感じ。

サラサラした液体のような感じなので勢いよく出ないように注意が必要。

シャンプーをするとすぐに、死骸が3つも見つかった(小さいけど肌についていればすぐに見つかる)。

気持ちが悪いと同時に、これは効果あるかも…!と嬉しくなる。

使用済みバスタオルしかなかったので、ベッドシーツ代わりに使おうと思った新品のバスタオルを使った。(我が家は洗濯機がないので、洗濯物は溜めて定期的にランドリーショップに出すシステム)

夜、ベッドシーツと枕カバーをすべて外して新品のタオルを枕に巻いて寝た。

寝ている間に髪の毛があちこち散らばらないように、長い髪の毛をまとめるのも忘れなかった。

この日の取れ高:
成虫 5(内2はボディタオルから発見)、死骸3、卵2

帰国まで11日。

ーーー

8月26日

朝、目が覚めると同時に枕に敷いた真っ白なタオルを確認。

シラミ、なし。

日中から専用コームを使ってシラミ潰しにとりかかった。

今日は一匹も見つからない。

彼に卵を探してもらって、2個見つかったけど、どちらも死んでた。

あのシャンプー、強力かも…!

この日の取れ高:成虫0、卵2
(あれ?シラミ、意外とちょろいかも。)

帰国まで10日。

ーーー

8月27日

この日の取れ高:成虫0、卵0

帰国まで9日。

ーーー

8月28日

薬用シャンプーも、シラミ専用コームも手際よくなってきた。

成虫は、もうまったく見なくなった。

卵ももういないだろうなー

と思ったら、

夜の卵チェックの時間に2個も発見した。

まだいんのかい。

しかも、ネットで調べたところだとほとんどの卵は髪の毛の根元から6ミリほどのところにいるらしいんだけど

私が見つけるのは髪の毛の下の方なんだよな。

母親がここまでおりてきて産み付けたのか・・・と思うと、気持ち悪い。

この日の取れ高:成虫0、卵2

帰国まで8日。

ーーー

8月29日

シラミが生きる期間は1ヶ月ほどらしい。

私に寄生したシラミは気の毒だな、と思う。

フィリピン人に寄生していたら、それほど恨まれることなくシラミとして生涯を謳歌することができていたかもしれないのに

たまたまこの広いフィリピンで日本人の私の頭に寄生してしまったがために、強力な液体で殺される運命にあるんだから。

この日の取れ高:成虫0、卵0

帰国まで7日。

ーーー

8月30日

この日の取れ高:成虫0、卵0

帰国まで6日。

ーーー

8月31日

この日の取れ高:成虫0、卵0

帰国まで5日。

ーーー

9月1日

この日の取れ高:成虫0、卵0

帰国まで4日。

ーーー

9月2日

この日の取れ高:成虫0、卵0

帰国まで3日。

ーーー

9月3日

もう丸4日間、成虫どころか卵すら見ていない。

シラミに完勝した。

そう思ってた。

前夜に【帰国までにすること】をリストアップしていた。

・パンデサルを食べる
・ジョリビーのチキンとサンデーを食べる
・Green Smoothie のお気に入り味を飲む
・ミニットバーガーを食べる

ジョリビーでチキンとサンデーを食べていると、正面に座っている彼が言った。

「卵見つけた」

家に帰ってよく見てもらうと、卵がなんと8個も出てきた(今思うと抜け殻だったかもしれない)。

・シラミ専用シャンプーを買い足す

が、リストに追加された。

この日の取れ高:成虫0、卵8

帰国まで2日。

ーーー

9月4日

二週間かけて、結局シラミがいなくならなかった。

ただでさえ彼とのお別れで寂しくて堪らないのに、シラミと一緒に帰国することが決定してダブルパンチで憂鬱な最終日。

長いフィリピン生活で一番最後に買ったものは「シラミ専用シャンプー」だった。

帰国まで1日。

ーーー

9月5日

無事に日本へ帰国。

コロナ対策で海外からの帰国者は公共交通機関が使えないので、家族が空港まで車で迎えに来てくれた。

車に乗ってびっくり。

シラミ対策が万全だった。

▼シラミ感染者である私専用の席。タオルは使い捨て

実家に到着してさらにびっくり。

美容師おすすめのシラミ専用シャンプー(アース製薬)を買っておいてくれたらしい。

さらに

・私だけ寝室別
・タオルは私専用、毎日枕に巻いて取り替える(シラミがなくなったらタオルは全部捨てる)
・入浴は私が最後
・洗濯物は私だけ別で洗う
・家の中では髪をお団子にする

という徹底したハウスルール。

家族のシラミ退治に対する本気度が痛いくらいに伝わってきて、お土産にシラミを持ち帰ったことを本当に申し訳なく思った。

帰国まで0日。

自宅隔離期間

9月6日~19日

自宅隔離生活。
注)コロナ禍で、海外からの帰国者は空港での検査結果に関わらず14日間の隔離が求められる

ハウスルールを守って生活した。

フィリピンでシラミ専用シャンプーを2本も買って帰ったけど、せっかくだから日本製のシャンプーを使ってみた。

帰国前にフィリピンの友人が恵んでくれたモブキャップ(本来はコロナ対策用)を就寝時に使ってみた。(サムネイル写真参照)

完治

9月20日

隔離明け初日、朝一の客として皮膚科へ走った。

医「卵はいないみたいですけどねー。この白いのだけ抜け殻かどうか見てみましょう」

顕微鏡で見てもらうと、抜け殻だった。

抜け殻は残っていても問題はないけど、手で取り除かないとずっと頭に残ってしまうらしい。

医「見た感じいないので、また痒くなったら来てください。お薬も出しませんからね」

終わった・・・。

アラサー女子 vs フィリピン産アタマジラミの戦い、アラサー女子の勝利。

【ひと目で分かる】シラミ知識まとめ

・シラミには種類があり(アタマジラミ・ケジラミ・コロモジラミ)ヒトの頭髪に絡まって寄生するものは「アタマジラミ」と呼ばれる
・成虫で2~4ミリ、卵は0.5ミリ程度
・成虫は茶色、吸血後は赤色や黒色に変化することもある
・卵は灰白色の楕円形、7~10日で孵化する
・生きた卵は根元付近にセメント状のものでしっかりくっついていて、ちょっと触っただけではとれない
・毛先についている卵らしきものは抜け殻であることが多い
・頭髪同士の接触、くし、タオル、帽子、寝具などの共有で感染する
・アタマジラミはヒト以外の動物には寄生しない
・ヒトの頭に寄生すると、一生を通して頭皮を吸血して生きる
・オス、メス関係なく幼虫~成虫まで吸血する
・一日に3~5個産卵し、一ヶ月ほど生きる
・ヒトの頭から離れると、吸血ができず2~3日で餓死する

シラミ対策 フィリピンvs日本

フィリピンでシラミはよくあること

フィリピンの一般家庭ではシラミは比較的よくあることで、よっぽど重症でない限りは問題視されないらしい。

そういえば気にも留めていなかったけど、親戚の家に遊びに行くと、お母さんが子どもの髪をシラミ専用コームでとかしていたっけ。

日本の家族のシラミに対する反応をフィリピンの家族に伝えると、とても不思議そうにしていた。

シラミに感染したら

日本でシラミに感染した場合

一般的には皮膚科に行ってお医者さんに診てもらうのがいいらしい。

シラミ専用シャンプーはオンラインで購入可能。80mlくらいで2000~2500円くらい。

男の子は頭を剃ったり、女の子は長い髪をショートにしたりするらしい。

フィリピンでシラミに感染した場合

皮膚科に行きたいと彼に伝えると「そんな病院知らない」と言われた。

なのでシラミ専用コームを購入し、自力で撃退。

シラミ専用シャンプーは薬局で購入可能(どこでも売っているわけではない)。

使い切りタイプは一袋39ペソ、ボトルタイプは60ml 242ペソ(約530円)で売っているけど、一般家庭ではたかがシラミにそこまでお金をかけたくないという認識っぽい。

フィリピンのシャンプーはエタノールのような薬品の匂いだったので、日本のシャンプーがフローラルの香りだったときはびっくりした。

シラミに感染してよかったこと

シラミは悪いことばかりじゃない!

1)彼への愛が深まった

頭にシラミを飼っていても変わらず愛してくれる彼。

彼女の頭に寄生するシラミを一切気持ち悪がらずに、黙々と真剣な表情でとってくれる彼。

シラミと向き合う姿勢、かっこいい・・・!

ますます彼のことが大好きになった。

ありがとう、シラミ!

2)シラミについて詳しくなった

自分が感染したおかげで、シラミについてかなり詳しくなった。

今ならシラミの生態、対策から予防まで、カンペなしで説明できる。

今後のフィリピン生活でまたシラミに感染することがあっても、落ち着いて対処できそうだ。

ありがとう、シラミ!

3)記事が一つ書けた

何か問題が発生すると「この壁を乗り越えたら絶対にネタにしてやる・・・!」と思うのがブロガーの特性。(大して更新しないくせにブロガーを名乗る)

おかげで記事が一つ書けた。なんなら小説だって書けそう。出版社様、お仕事依頼お待ちしてます!

ありがとう、シラミ!