フィリピンに恋して。
~フィリピン・バギオのリアルライフ~
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フィリピン人夫がちょっとした隙に友達を作ってくるんです。

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金曜日の朝はちょっと楽しみ。

夫の仕事が休みなので、私の出勤時に駅の改札まで見送ってくれるのだ。

娘のお世話もほぼ丸投げして、余裕があればコーヒーだって飲める。

夫が抱っこ紐で娘を前に抱えて、三人で話しながら駅まで歩く。

家を出る時間はいつもと変わらないのに、夫がいてくれるだけでなんとなくゆったりとした時間が流れる。

 

この日、いつもは閑散としている地元の駅が人で溢れかえっていた。

遠目からみてすぐに電車の遅延だと察した。

鉄道の存在しないバギオという都市からきた夫にはこれが珍しくて、遅延があるたびにインスタのストーリーに投稿している。

「日本ではそんなに人が死ぬのか」と沢山の反応がつくらしい。みんな興味津々。(遅延の原因が毎回自殺や人身事故でないことは説明済み)

 

時刻は8時半。

復旧見込みは13時以降だというからかなり大ごとのようだった。

改札の向こう側には、特急列車の払い戻しと遅延証明書の受け取りで長蛇の列。みんな静かに並んでいて、こんなところにも日本を感じる。

職場の同僚が同じ駅を使っていることを知っていたのでLINEしてみたら、案の定すぐ近くにいたので合流した。

 

アプリを駆使しながら思いつく限りのルートを挙げて、どうにかして最短経路で職場まで辿り着こうとする私たちの斜め後ろで、私を見送りに来た夫が誰かと喋り始めた。

このへんに友達はいないはずだし、職場の同僚かなあ。

職場までの行き方の目処が立ったので、そこではじめて夫に目をやると、欧米人(に見える)の男性と英語で話していた。

「友達?」

「さっき友達になった。Jだよ。彼の奥さんも日本人らしいよ」

どこかで見覚えのあるこの場面。

 

バギオで夫とジプニーに乗ったとき、向かいに座っていたおばさんと親しげにベラベラと喋るので、降りたあとに「あの人誰?」と聞くと、知らない人だと言われた。

あるときは、夫の実家に遊びに行くと見たことのない男性が敷地内のガレージの壁に腰掛けてゲームをしていたので(夫の親戚はほとんど紹介してもらっていたので見たことない人はほぼいない)こっそり「あの人誰?」と聞くと、「知らない。たぶん従兄弟じゃない?」と言われた。

自分の家の敷地内でゲームをしている「たぶん従兄弟」の男性を少しも気に留めることなく横を通り過ぎて家に入ったときは、さすがに変な感じがした。

見ず知らずの人に昔からの知り合いかのようにいきなり話しかけて親しくなるのは、夫にとってごく普通のことで、私からすればめちゃくちゃ羨ましい才能。

相手の反応が悪ければ、それ以上は干渉しない。「暑いね」と言ったら「ああ、暑いね」と返してくれる人と友達になる。

そうやって今まで無限に友達を作ってきた夫のことを、私は陰でコミュ力お化けと呼んでいる。

 

Jも会社に向かおうとして、足止めを食らったらしい。

私と違って、13時まで動かないその路線を使う以外には会社に行く手段がないそうで、うなだれていた。

ただただ電光掲示板をみて時が過ぎるのを待つJに構わずあれこれ話しかけるのは、本日休みの夫。

そのうち彼も会社に行く気がなくなったのか

「じゃあ、私たちは会社に行くよ。」

というと

「じゃあ、僕たちはそのへんでコーヒーでも飲んでくるよ」

と、二人して人混みに消えていった。

 

仕事を終えて、あの後二人はどうなったんだろう〜と半ば楽しみに帰宅すると、

「Jの家でお茶してきた」

というからおどろき。

お茶したの?いきなり家に?大丈夫だったの?

「駅でたまたま知り合った人と仲良くなって家に招かれる」というのは、個人的には全然オッケーだけど、奥さんが日本人で小さいお子さんもいる家庭だと聞いていたので、さすがに大丈夫か?と思った。

ダニエル
ダニエル
オフコース!全然大丈夫だよ!
コノミ
コノミ
君の都合を聞いてるんじゃないんだな

 

 

翌日は土曜日。

これといった予定はなく朝から家の掃除をしていると、夫が

「妻、Jの家に行こう」

と言ってきた。

昨日知り合った人の家に連日お邪魔するの?奥さんと子どもは家にいるの?土曜日の朝に急に家に行くことについて奥さんは大丈夫なの?何時に行って何時に帰るの?

フィリピンにいた時は気にしなかったけど、日本では無意識的に本当に色んなことを考えながら生きているな~と感じる。

外国人の旦那同士は昨日親しくなっているけど、日本人妻同士は「話を聞いただけ」の初対面。

しかもこれはフィリピン人と結婚してる人ならわかると思うけど、会話における情報量が圧倒的に少ない ので、状況を把握するために何度も会話のキャッチボールをする必要がある。

「Jの家に行く」

このたった一つの事実について、実際にJの家に行って帰ってくるためには

・何時に行くのか
・何時に帰るのか
・そこには誰がいて何をするのか(ティータイムなのかランチなのか)

少なくともこの情報がないと日本人妻は動けないのだ。

一歳半の子どもを連れて行く準備に最低15分、手土産だって買わないと。

相手の都合を気にせず急に手ぶらで押しかけてテキトーに滞在して気が済んだら帰る、フィリピンにいた頃とは訳が違うのだ。

そこんとこを夫は理解してない。

きっと向こうの家でも同じような会話がなされているんだろうな、と思ったらちょっと笑えた。

結局、「昨日駅のホームで知り合った人」の家に二日連続で、今度は家族でお邪魔することになった。

方向的にスーパーしか寄れるところがなく、全然見栄えのしないジュースとケーキを買って。

 

家の前まできて、

ねえ本当に大丈夫かな?

奥さんにちゃんと話通ってる?

と(いつもどおり)私がモソモソゴニョゴニョしていると、ドアが開いてJと奥さんが出迎えてくれた。

 

玄関先で少し話した段階で違和感に気付いたのは私だけじゃないだろう。

Jが「それで… どうする?家に上がっていく?」と聞いてきたとき、すべてを察した。

コノミ
コノミ
家に上がる気満々だったのアンタだけやないかい。

さすがに笑いそうになりながらも、手土産を差し出した手を今さら引っ込めることもできず、天然を装って上がらせてもらったよ。

 

Jも奥さんも、とても気さくで明るいご夫婦で、すぐに打ち解けた。

幼稚園に通うシャイボーイは、お気に入りのレゴを娘に貸してくれた。

結局話が盛り上がってお昼過ぎまで居座ってしまったのだけど、奥さんも「昨日のことを夫から聞いて冗談かと思った」と言っていて、

どこもそうなんだなあ と思った。笑

 

夫は、休みのたびに出かけては友達を作って帰ってくる。

実はこのあたりにフィリピン人は結構多いらしくて、ふらっと行ったカフェで隣の席に座ってたフィリピン人の二人組に声をかけたらコネで仕事を紹介してもらえたり、

電車で同じ車両にたまたま乗り合わせたフィリピン人マダムに話し掛けたら、その人が日本とフィリピンを繋ぐ団体の代表でイベントに招いてもらったり、

フィリピンにいたとき、夫と一緒にいると友達の輪がどんどん広がって、漠然とこういうのいいなって思っていたけど、

不思議なことに、日本にいても夫と一緒にいるとどんどん友達が増えていく。

誰とでもすぐに打ち解けてみんなに愛される、彼の才能。

 

最近、夫をジャパナイズ(日本人化)したくないというテーマで記事を書いたけど、大丈夫。この人はどこにいてもフィリピン人だ。